日本語教育
Online ISSN : 2424-2039
Print ISSN : 0389-4037
ISSN-L : 0389-4037
研究論文
日本語における動作主認識の副詞的成分の特徴
―「*映画を怖く見ている」とはなぜ言えないのか―
劉 怡伶
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 153 巻 p. 81-95

詳細
抄録

 本稿では,日本語における動作主認識の副詞的成分の特徴を考察した。考察の結果,動作主認識の副詞的成分は先行研究の指摘のように,動作主が動作の実現中に持った感情・感覚を表すものであるということのほか,次の三つの特徴を持っていることが明らかになった。1)動作主認識の副詞的成分は動詞の表す語彙的意味の層で機能するものである,2)動作主認識の副詞的成分の表す感情・感覚は動作主の制御可能な動作によって生起するもののため,動作の結果でもある,3)動作主認識の副詞的成分の表す感情・感覚はある程度制御可能なものである,ということである。

 また,本稿ではコーパスにおける使用実態も調査したが,〈快〉の感情・感覚を表す形容詞連用形が動作主認識の副詞的成分として用いられやすいことが判明した。その理由として語用論的理由によることを説明した。

著者関連情報
© 2012 公益社団法人 日本語教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top