抄録
国立国語研究所『太陽コーパス』・『明六雑誌コーパス』内に出現する主な程度副詞について調査すると、文末辞を基準とした文語記事・口語記事の別による文体的な出現傾向に、各語について明らかな違いが見られた。ただ文語的な傾向を示す語については口語記事でも多用されているなど、必ずしも文末辞による口語・文語の別と一致していたわけではない。このことは、文末辞だけでなく程度副詞類も、「文語」「口語」をさらに分類する上での、文体的な指標となりうることを示唆していると考えられる。また、「文語」から「口語」への大きな流れを背景として、文語的な語、あるいは古くからある語が継続して用いられながらも勢いが停滞しつつある傍ら、「ひじょうに」や「たいへん」といった、口語的で汎用性の高い副詞の使用が拡大しつつある様子が見られた。