日本語の研究
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〔研究ノート〕
日露比較から見る日本語の笑い方の表現の特徴
宿利 由希子カリュジノワ マリーナ
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2019 年 15 巻 3 号 p. 18-25

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抄録

本稿は,笑い方の表現を考察対象とした日露比較により,動作主と動作の描写におけることばと人物像(キャラ)の結びつきの多寡および強さという日本語の特徴を示すものである。ロシア語原文小説とその日本語訳版の比較調査,および日本語原文小説とそのロシア語訳版の比較調査の結果,日本語がロシア語に比べ笑い方の表現の種類が豊富であることがわかった。また,笑い方の表現がどのような人物像にふさわしい笑いとして認識されているか,日露それぞれの母語話者を対象に行った意識調査の結果,「微笑む」に相当するロシア語がどのような笑い手にも使えるニュートラルな表現であるのに対し,対応する日本語の「微笑む」「にこっと笑う」などは笑い手を限定する,特定の人物像と結びついた表現であることが明らかとなった。

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© 2019 日本語学会
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