抄録
PVDF/PMMAブレンドの混合比,溶融状態からの冷却速度を変化させ,X線回折により,ブレンド物の相溶性およびそのときのPVDFの結晶構造を検討した。混合比により,PVDFとPMMAが相溶した非晶状態と,ブレンド物が相分離した結果生成するPVDF(II型)の結晶構造との二形態を形成した。これら試料を熱処理(120°C)すると,PVDF/PMMA(70/30-80/20)の混合比で,PVDF(I型)の結晶構造が形成した。熱処理によりPVDF(I型)とPVDF(II型)の異なる結晶構造を形成するのは,PVDF/PMMAの相溶性が混合比で異なるため,相溶性が高い場合PVDFの結晶化速度が遅く,その結果PVDF(I型)を形成するためである。
PVDFの結晶構造には一般に3種類知られているが,そのうちPVDF(I型)の結晶を得るのはこれまで非常に困難であった。本研究では,PVDFとPMMAを70/30-80/20の重量比で溶融混練し,急速に冷却した後,熱処理することにより,PMMA存在下でPVDF(I型)の結晶のみが優先的に成長することを明らかにした。