工業化学雑誌
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メチルナフタリンのアンモ酸化
関根 紀之神谷 佳男
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1967 年 70 巻 1 号 p. 59-63

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抄録
五酸化バナジウム触媒を用いメチルナフタリンのアンモ酸化を流通法により行なった。反応温度が低い時にはナフトニトリルが主生成物であるが,温度が高くなるとナフトニトリルが減少して,フタロニトリル,トリシアンベンゼンおよびフタルイミドが増加し,500℃ 以上ではフタルイミドが主生成物である。2-メチルナフタリンについての各生成物収率(mol%)はつぎのようであった。410℃ においてナフトニトリル21.8%,フタロニトリル3.9%,トリシアンベンゼン1.8%,フタルイミド0.7%。452℃においてはそれぞれ0%,16.3%,5.6%,21.3%。
さらに,ナフトニトリル,ナフトアルデヒドおよび2-メチル-1,4-ナフトキノンをアンモ酸化し,メチルナフタリンのアンモ酸化の機構を考察した。メチルナフタリンの一部はメチル基がアンモ酸化されてナフトニトリルとなり,これからフタロニトリルとトリシアンベンゼンを生成するが, 一部はメチル基のついたベンゼン核が酸化されてメチルナフトキノン径由でフタロニトリルを生成する。高温においてフタルイミドが主生成物となる理由は,フタロニトリルとフタルイミドの間に平衡があることによると考えられる。
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