人間ドック (Ningen Dock)
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症例報告
便潜血検査陽性で発見された腸管嚢胞状気腫症の1例
宇賀神 卓広小山 美緒髙田 優子津戸 直樹藤沼 澄夫
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2018 年 33 巻 4 号 p. 609-613

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抄録

 今回,我々は,便潜血検査陽性で発見された腸管嚢胞状気腫症の1症例を経験した.

 症例は,糖尿病,気管支喘息,高血圧,狭心症で外来通院中の82歳の女性.糖尿病に対してアカルボースが処方されていた.軟便が続くため,便潜血検査を施行したところ陽性であった.全大腸内視鏡検査が施行され,S状結腸に平滑な粘膜下腫瘍が多発し,表面は一部発赤し薄い血餅が付着する部分も認められた.同病変は,CT colonographyで腸管壁に沿った気腫として描出され,腸管嚢胞状気腫症と診断された.症状が軽微で血糖コントロールも良好なため,アカルボースは継続し,慎重に経過観察された.しかし,軟便が続いたためアカルボースを中止し,1ヵ月後に大腸内視鏡検査を再検したところ同病変は著明に改善しており,本症例は,アカルボースを主因とする続発性と考えられた.

 腸管嚢胞状気腫症は,粘膜下もしくは漿膜下のガス貯留を主体とする疾患で,便潜血陽性の原因になりうるが大腸がん合併例の報告もあり,注意が必要である.また,漿膜下嚢胞の破綻により腹腔内遊離ガス像を呈すことがあるが,慢性型では手術を要する頻度は低い.画像検査で腹腔内遊離ガス像を認めた場合,有機溶剤使用歴,治療中の疾患,内服薬に関する問診,症状や腹部所見を参考に冷静な対応が必要である.腸管嚢胞状気腫症は,健診医療従事者が是非知っておくべき疾患と考え報告する.

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© 2018 公益社団法人 日本人間ドック学会
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