西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
Acquired Palmar Fibrokeratoma
中條 秀子鈴木 久美子平野 京子
著者情報
ジャーナル 認証あり

1982 年 44 巻 4 号 p. 552-554

詳細
抄録
52才女子, サンダル加工業。約18年前より左手掌に小丘疹が生じ, 漸次増大し指状突起となつたため来院した。腫瘍は表面平滑, 弾性硬, 正常皮膚色を呈す。組織所見は, 腫瘍体部では角質増殖を示し, 表皮細胞は扁平萎縮しているが, 腫瘍基底部ではむしろ表皮肥厚を呈している。腫瘍はほとんどが膠原線維より成り, その走行は, 腫瘍の中心部では表面に対して平行に走り, 一部波状を呈し, 辺縁では線維は細く表皮と垂直に走つている部分が多い。線維間には毛細血管の増殖, 拡張を認め, アルシャンブルー染色でメタクロマジーをわずかに認める。腫瘍基底部では弾力線維を認めた。誘因としては, 本症例では, 患者はサンダル加工に従事し, 左手掌でサンダルの踵を長時間強く押さえるため, 持続性の外力が加わり, それが誘因となつたと思われる。治療は外科的切除を施行した。現在まで再発をみない。
著者関連情報
© 1982 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top