抄録
1%710674-Sクリーム(以下S)の白癬, 皮膚カンジダ症および癜風に対する有用性を検討するため, 全国20施設の共同研究班を組織し, 1%クロトリマゾールクリーム(以下C)を対照としてwell-controlled comparative studyを実施した。治験実施総数は915例(S群: 454例, C群: 461例)であつたが, 有効性および有用性の解析対象例はS群372例, C群387例であり, 安全性の解析対象例はS群430例, C群436例であつた。その結果, 足白癬の菌別総合効果判定および菌別有用性判定のT. rubrumによる症例において, S群はC群に比べ優れるかまたはその傾向を示した。また間擦疹型皮膚カンジダ症では, 全般改善度と皮膚所見の重症度の第1評価日, 菌陰性化率および有用性判定で, C群はS群に比べ優れるかまたはその傾向を示した。副作用の発生は, S群430例中6例, またC群436例中6例で, 発生率はともに1.4%で, 副作用症状はすべて局所症状であつた。またS群47例とC群52例に対し, 薬剤投与前後に臨床検査を実施したが, 試験薬剤によると考えられる検査値の異常は認められなかつた。以上により, 1%710674-Sクリームは優れた有用性を有しており, 表在性皮膚真菌症の治療薬として有用性の高い薬剤といえる。