抄録
急性リンパ球性白血病の化学療法中に出現したacral erythemaの1例を報告した。両側足底の紅斑で発症し, 水疱, 潰瘍を形成して約3ヵ月後に瘢痕治癒したが, 紅斑出現時から強い疼痛による歩行困難の訴えがあり, 疼痛のコントロールや創処置に苦慮した。海外におけるacral erythemaの報告では, cytosine arabinoside(Ara-C)によるものが多く, 本邦での報告は検索した限り3文献1)∼3)で, Ara-Cで2文献, methotrexateは1文献のみであった。掌蹠に限局し知覚異常を伴うこの特異的な臨床像は, まれではあるが化学療法を実施する際の留意すべき副作用と考える。