西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
多発性の日光角化症,Bowen病,有棘細胞癌および単発性の基底細胞癌がみられた1例
半田 芳浩羽渕 知可子日比 泰淳安江 敬柴田 真一富田 靖
著者情報
ジャーナル 認証あり

2002 年 64 巻 1 号 p. 36-40

詳細
抄録

64歳,男性。経過中に両耳·右前腕·両手背に6個の日光角化症,右耳·左手背に2個の有棘細胞癌,右手背·左耳·右前腕に4個のBowen病および右手背に単発の基底細胞癌を認めた症例を経験した。砒素摂取歴や職業上で染料,切削油,コールタール,農薬などの発癌物質への曝露歴はない。UVAの最少反応量,UVBの最少紅斑量の低下はなかったが,皮疹はいずれも露光部に出現しているため,日光の刺激により誘発されたと推測した。右耳の日光角化症には液体窒素療法を施行し,他の腫瘍は全て切除した。局所再発は認めていないが,現在も両手背~前腕にBowen病の初期病変もしくは日光角化症と思われる褐~紅色斑が多発しているため,慎重に経過観察している。多種の皮膚悪性腫瘍が多部位にわたり発症した例は稀と考え報告した。

著者関連情報
© 2002 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top