2019 年 116 巻 3 号 p. 224-234
Faecalibacterium prausnitzii(Fp)は,ヒト腸内に定住する代表的な酪酸産生菌である.酪酸はIL-10産生およびTreg分化を促進することで抗炎症効果を発揮する.さらに,クローン病では症状の増悪・寛解に腸内Fp数の減少・増加がともなうため,Fpのプロバイオティクス(PRO)としての投与も考慮される.しかし,Fpは高度に偏性嫌気性であるため大量培養が困難で,PROとしてはまだ実用化されていない.これに対して,最も低分子のフラクトオリゴ糖である1-ケストースはFpの増殖および酪酸産生に対して優れた促進効果を持つため,クローン病に対するプレバイオティクスとして用いることを提唱する.