2019 年 116 巻 8 号 p. 624-630
硬化性胆管炎は肝内・外の胆管にびまん性に胆管狭窄を生じる疾患の総称であり,原発性硬化性胆管炎(PSC)とIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC),二次性硬化性胆管炎に分類される.PSCでは特徴的な診断マーカーが存在せず,胆道造影で特徴的な所見を捉えることが重要である.IgG4-SCでは血清IgG4上昇,他臓器におけるIgG4関連疾患の存在,胆道生検によるIgG4陽性形質細胞浸潤が診断の決め手となる.PSCは確立された内科的治療がなく,依然として予後不良の疾患である.これに対しIgG4-SCは副腎皮質ステロイド薬が奏功し,予後は良好であり,PSCあるいは悪性腫瘍との鑑別が極めて重要である.