2022 年 7 巻 2 号 p. 69-74
【目的】脳静脈流出路の狭窄が,頭蓋内圧亢進症の一因になっていることがある.我々は,上矢状静脈洞狭窄を伴った頭蓋内圧亢進症に対し,圧較差を確認した上で,静脈洞内ステント留置を施行した1例について報告する.【症例】52歳男性.左眼の視力異常,頭痛を自覚.うっ血乳頭を認め,MRVで上矢状静脈洞の狭窄を認めた.腰椎穿刺では初圧35cmH2O以上と頭蓋内圧の亢進を認めた.保存的加療を開始したが奏功せず,静脈洞内ステント留置を行った.狭窄部前後で16 mmHgの圧較差を認めていた.術直後から頭痛,視野障害の改善を認めた.【結論】静脈洞狭窄を伴う頭蓋内圧亢進症に対し,静脈洞ステント留置はひとつの選択肢として,検討すべきである.