抄録
症例は39歳男性。左片麻痺で発症し,頭部CTで右被殻出血を認めたが,血腫が少量であったため保存的治療を行い,片麻痺はほぼ改善した。脳血管撮影を施行すると,右内頚動脈系には異常所見を認めず,出血の原因は既往の高血圧由来と考えられた。左内頚動脈撮影では遺残原始三叉神経動脈が存在し,椎骨動脈撮影では脳底動脈近位部に窓形成を認めた。脳動脈瘤は認めなかった。本例においてはこれら脳血管の先天異常はいずれも無症候性であり,偶然発見されたものであるが,脳底動脈窓形成と遺残原始三叉神経動脈の合併例の報告はなく,原始脳血管の発生過程を考える上で興味深い。