Neurologia medico-chirurgica
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37 巻, 11 号
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  • Christopher M. LOFTUS
    1997 年 37 巻 11 号 p. 805-818
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    In this review I describe my method of carotid endarterectomy with synthetic patch angioplasty. The use of Hemashield patch angioplasty is relatively new in my practice, and since I have adopted it I feel it has reduced or eliminated early restenosis and acute postoperative occlusion. The technique is simple and straightforward, and does not require any special preparation of the patch material. The patch is stronger and safer than saphenous vein. The other steps of the endarterectomy are unchanged, and the same suture can be used for patch placement. I also describe here a new commercial shunt which I have developed and which I feel is an improvement over the shunts I previously used. I place an indwelling shunt selectively, if electroencephalography criteria indicate that a shunt is needed. In my series this occurs in 15% of cases, increasing to 25% in patients with contralateral carotid artery occlusion. The overall stroke rate in my carotid artery series is 1.8% at present.
  • 富田 博樹, Osamu TONE, Umeo ITO
    1997 年 37 巻 11 号 p. 819-824
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    硬膜外血腫あるいは硬膜下血腫の除去術がおこなわれた15歳から50歳までの42症例につき、血腫側と大脳半球の萎縮との関係につき検討した。これらの症例は受傷後6ヶ月まで定期的にCTがおこわれた。大脳萎縮が認められた9例(急性硬膜外血腫3例、急性硬膜下血腫6例)の入院時GCS値は6.5+/-2.9(mean+/-SD)であり、大脳萎縮を伴わない33症例のGCS値9.6+/-3.3に比べ有意に低値であった。9例中7例において術後血腫側大脳半球に著しい腫脹が認められた。この7例中5例に血腫と同側の半球に著しい萎縮が認められた。重症頭部外傷において硬膜外あるいは硬膜下血腫は同側の大脳半球の萎縮を引き起こしうる。
  • 丹羽 政宏, Hirofumi OYAMA, Tatsuya KOBAYASHI, Yoshihisa KIDA, Takayuki TAN ...
    1997 年 37 巻 11 号 p. 825-829
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    脳腫瘍の患者に対するグリセロールの効果を脳血流量変化の点から調べた。対象は、glioma17例、meningioma15例のあわせて32例である。グリセロール投与前では、gliomaの腫瘍部分で低血流域、meningiomaの腫瘍部分で高血流域が見られた。腫瘍周囲の浮腫部分では両者とも低血流域であった。投与後では、gliomaの腫瘍部分で血流の低下が見られたが、その他の領域では血流が増加した。グリセロールの反応は腫瘍型により様々である。
    gliomaでは腫瘍とその周囲の組織において盗血現象がおきていると推測された。
  • 阿部 琢巳, Takanobu IWATA, Noriyoshi KAWAMURA, Hitoshi IZUMIYAMA, Hisato I ...
    1997 年 37 巻 11 号 p. 830-837
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    鞍上伸展を伴う非機能性下垂体腺腫7例に対し、段階的経蝶形骨洞的腫瘍摘出術を施行した。年令は44-67歳で男性5例、女性2例。全例、初回手術時、鞍内及び可視内の腫瘍摘出後、鞍上部の腫瘍は線維性で硬く、鞍内降下が認められなかったため、部分摘出にて終了した。鞍底部は開放とした。術後2週間ごとにMRIを施行した。鞍上部の残存腺腫は全例2カ月以内に鞍内に下降した。第2回手術は4例で初回手術後2カ月に、1例で3ヵ月に、2例で5カ月後に施行した。2例で第3回手術を施行した。海綿静脈洞浸潤を伴う1例を除き、ほぼ全摘出し得た。経過観察期間は6-58カ月で手術合併症も再発、再増大も認めなかった。段階的経蝶形骨洞的腫瘍摘出術は線維成分の多い鞍上伸展を伴う非機能性下垂体腺腫には安全で有効な治療法の一つである。
  • 矢野 高, Tatsuya KURODA, Yusuke TANABE, Akira TAKAO, Noboru SAKAI
    1997 年 37 巻 11 号 p. 838-840
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    頭部外傷後、2回にわたり髄膜炎を起こした小児例を報告する。症例は7歳男児で、頭部外傷後4カ月を経て髄膜炎を起こした。明らかな髄液漏がなかったため、この時点では頭蓋底骨折を疑わなかった。さらに10カ月を経て再び髄膜炎を起こしたため、Coronal CTを行ったところ、右節篩洞内への脳脱が描出され、前頭蓋窩底骨折と診断した。骨レベルの3D-CTでは、右嗅溝外側に骨折部が鮮明に描出され、手術時に観察した骨折部のイメージとよく一致していた。修復手術後、髄膜炎の発生はみられていない。3D-CTは簡便で苦痛が少ないため、被曝量を最小限にするようつとめれば、小児の頭蓋底骨折における診断手段として有用である。
  • 服部 達明, Satoru INOUE, Noboru SAKAI
    1997 年 37 巻 11 号 p. 841-843
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    症例は39歳男性。左片麻痺で発症し,頭部CTで右被殻出血を認めたが,血腫が少量であったため保存的治療を行い,片麻痺はほぼ改善した。脳血管撮影を施行すると,右内頚動脈系には異常所見を認めず,出血の原因は既往の高血圧由来と考えられた。左内頚動脈撮影では遺残原始三叉神経動脈が存在し,椎骨動脈撮影では脳底動脈近位部に窓形成を認めた。脳動脈瘤は認めなかった。本例においてはこれら脳血管の先天異常はいずれも無症候性であり,偶然発見されたものであるが,脳底動脈窓形成と遺残原始三叉神経動脈の合併例の報告はなく,原始脳血管の発生過程を考える上で興味深い。
  • 西 京子, Masaaki UNO, Shin UEDA, Kazutoshi NISHITANI, Kiyohito SHINNO, Sh ...
    1997 年 37 巻 11 号 p. 844-848
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    放射線治療が原因と考えられた頚動脈狭窄症に対し、頚動脈内膜剥離術(CEA)を施行した1例を経験した。症例は左耳下腺腫瘍切除後、放射線治療歴のある60才男性。右片麻痺のTIAを繰り返し、脳血管撮影で左頚動脈に4椎体に及ぶ潰瘍形成を伴った狭窄病変を認め、saphenous vein patchを用いた13cmにわたるCEAを施行した。plaqueは病理学的にはatheromatous plaqueと同様の所見だが、表面は潰瘍を伴った非常にirregulerな状態であった。過去268例のCEAで放射線治療が原因と考えられた症例は初めてであり文献的にも稀である。一般に手術手技は困難といわれているが、有効な治療法であると考えられたので報告した。
  • 松本 勝美, Katsuhito AKAGI, Makoto ABEKURA, Yasutaka MAEDA, Masahiko KITAG ...
    1997 年 37 巻 11 号 p. 849-851
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    Pilocytic astrocytomaはastrocytoma grade 1に相当する良性腫瘍で、出血で発症することはきわめて稀である。症例は45歳男性、突然の頭痛で発症した。CTおよびMRIでトルコ鞍上部の腫瘤と血腫を認め、Day 4で右pterional approachで腫瘍摘出手術を行った。組織はRosenthal fiberを含み視床下部pilocytic astrocytomaと診断した。残存腫瘍に対し2カ月後に再度右orbitozygomatic approachで摘出手術を行った。術後経過は良好で、6カ月後のMRIでも腫瘍の増大は認めない。比較的豊富な腫瘍血管が出血源となった可能性がある。
  • 左合 正周, Satoshi ONOZUKA, Hideki MURAKAMI, Yuichi HIROSE
    1997 年 37 巻 11 号 p. 852-855
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    松果体部髄膜腫に対し血管内塞栓術施行後、腫瘍全摘出術を行った。症例は69歳女性、精神機能低下、歩行障害にて発症、諸検査にて松果体部髄膜腫と診断した。脳血管撮影にて両側中硬膜動脈より栄養されており、estrogen+alcohol、polyvinyl acetateを使用し腫瘍塞栓術を施行した。塞栓術後MRIにて腫瘍内壊死が確認された。手術はoccipital transtentorial approachにて行い、腫瘍は軟化し吸子にて容易に吸引摘出可能であった。本腫瘍はvelum interpositumより発生したと判断された。脳深部に局在する髄膜腫においても、外頚動脈系より栄養される場合があり、こうした例では術前塞栓術が有用と考える。
  • 高良 勝彦, Kajin CHO, Kentaro MORI, Minoru MAEDA
    1997 年 37 巻 11 号 p. 856-860
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    側脳室内に発生した嚢胞性髄膜腫の1症例を報告する。症例は37歳男性、軽度の伝音性失語症と右半身の知覚障害を認めた。MRIにて左側脳室三角部にGdにて造影される実質性腫瘍とその前上方に複数の嚢胞を認め、嚢胞壁もGdにて造影された。腫瘍は内側後脈絡動脈より栄養されていた。腫瘍はparamedian superior parietal transcortical transventricular approachにて全摘出された。組織はatypical meningiomaであった。7例の文献的考察を加え報告した。
  • 鶴嶋 英夫, Takao KAMEZAKI, Yuji TOMONO, Tadao NOSE
    1997 年 37 巻 11 号 p. 861-864
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    症例は70才、女性、右三又神経痛にて来院した。頭部単純CTでは橋前面にhigh densityな腫瘤を認め、MRIではTl強調画像で高から等信号領域、T2強調画像で低信号領域であった。手術が施行され、類表皮嚢胞であることが確認された。嚢胞内容物は古い血腫と脂質の混在したものであった。T1強調画像による高から等信号領域は脂質とメトヘモグロビンによるものであり、T2強調画像による低信号領域はヘモヂデリンによるものと思われた。これらMRIによる所見は一般的な類表皮嚢胞のものと一致しなかった。類表皮嚢胞に特異的なMRI所見はなく、診断時には注意を要すると思われた。
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