抄録
症例は52歳女性。Pterional approachにて未破裂内頚動脈瘤に対するクリッピングを施行。術後6日より腰痛を訴え、馬尾症状を示した。同症状は3日間で自然消失したが、術後10日のMRIで亜急性期の腰椎硬膜下血腫がみられた。同病変の危険因子がなく、発症が歩行開始時に一致し、MRI上の血腫の時期が開頭術時に生じたと判断できることから、開頭術野での硬膜下腔の血液貯留が、重力により腰椎硬膜下腔へ移動したものと考えられた。開頭術に脊髄硬膜下血腫を合併することは極めて稀であるが、術後に脊髄症状を呈した場合、一原因として考慮すべきと考え報告した。