Neurologia medico-chirurgica
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39 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 岩渕 聡, Samir BISHARA, Peter HERBISON, Albert ERASMUS, Hirotsugu SAMEJIM ...
    1999 年39 巻4 号 p. 273-281
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    成人のテント上low grade astrocytomaについて,その予後に関わる因子を検討したので報告する。対象は,1967年より1993年までに治療した16歳以上のテント上low grade astrocytoma56例である。平均年齢42歳,median survival 5.0年。予後に関わる因子として統計学的有意差の認められたものは,単変量解析では,年齢,Karnofsky scale,外科的切除範囲,多変量解析では,年齢,Karnofsky scaleのみであった。一方放射線治療に関しては,93%の患者が放射線治療を受けていたため,その有用性については判定し得なかった。
  • 西澤 茂, Tetsuo YOKOYAMA, Kenichi UEMURA
    1999 年39 巻4 号 p. 282-287
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    SPGR法とMR cisternographyを用いて、術前の聴神経腫瘍例で、内耳道内での顔面、聴神経の同定、内耳道内への腫瘍の進展と神経との解剖学的位置関係、内耳道後壁削除に重要な目安となる後半規管の同定について検討した。いずれの項目もMR cisternographyはSPGR法よりはるかに鮮明な画像を得ることができた。この方法を用いた術前の神経放射線学的検討は術中の神経同定保存、後半規管の保存に重要な情報を提供してくれ、非常に有用である。また、造影剤を使用しなくてもすみ、非侵襲的である。従来これらの情報を得るために、thin-sliced high resolution CTが用いられていたが被爆量も大きく、今後MR cisternographyが活用されるべきである。
  • 岩井 謙育, Kazuhiro YAMANAKA, Hideki NAKAJIMA, Toshihiro YASUI
    1999 年39 巻4 号 p. 288-290
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    海綿静脈洞部海綿状血管腫の1例にガンマナイフ治療を行い、有効であったので報告した。症例は40歳女性、左側三叉神経障害および外転神経麻痺にて発症した。MRIにて左側海綿静脈洞部に腫瘍性病変を認め、他院にて腫瘍の部分摘出を受けた。組織診断は海綿状血管腫であった。残存腫瘍に対して、辺縁線量12Gy(50%isodose)にてガンマナイフ治療を行い、合併症もなく著明な病変の縮小を認めた。海綿静脈洞部の海綿状血管腫に対してもガンマナイフは安全で、有用な治療法になりうると思われた。
  • 服部 達明, Hiroshi KOBAYASHI, Satoru INOUE, Noboru SAKAI
    1999 年39 巻4 号 p. 291-293
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    脳血管撮影で造影されず、手術にて初めて確認された前頭蓋窩硬膜動静脈奇形の1例を報告した。症例は63歳男性で頭痛嘔吐に続く意識障害で発症した。意識レベルはJCS200で、頭部CTで右前頭葉に硬膜下血腫と脳室穿破を伴う巨大な脳内血腫を認めた。脳血管撮影ではmass signと循環遅延以外は明らかな異常所見を認めなかった。緊急開頭術を施行し血腫を除去すると、前頭葉下面に前飾骨動脈をfeederとし、皮質静脈をdrainerとするnidusを認め摘出した。組織学的診断は動静脈奇形であった。硬膜動静脈奇形は脳血管撮影で容易に診断できるとされるが、本例のように頭蓋内圧亢進が著明な場合は造影されないことがあり、その診断に注意を要する。
  • 片岡 大治, Susumu MIYAMOTO, Izumi NAGATA, Taketo HATANO, Hideyuki KANO, No ...
    1999 年39 巻4 号 p. 294-298
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    モヤモヤ病の閉塞性病変は、内頚動脈終末部より始まり近位部に向かって徐々に進行していくのを特徴とする。今回我々は脳血管撮影上非典型的な所見を示したモヤモヤ病2例を経験したので報告する。症例は7歳男児と10歳女児。2例とも内頚動脈が眼動脈分岐部近傍で閉塞しているが内頚動脈終末部及び後交通動脈は閉塞しておらず、後交通動脈を介して椎骨脳底動脈系より側副血行が認められていた。モヤモヤ病はその典型的な血管撮影所見により診断されており、内頚動脈終末部の閉塞または狭窄は診断基準にも含まれている。本症例報告は発症病理はモヤモヤ病と同一であるが厳密には診断基準を満たさないようなvariantsの存在を示唆するものである。
  • 清水 暁, Shigekuni TACHIBANA, Hiroshi MAEZAWA, Kiyotaka FUJII, Shinichi K ...
    1999 年39 巻4 号 p. 299-301
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は52歳女性。Pterional approachにて未破裂内頚動脈瘤に対するクリッピングを施行。術後6日より腰痛を訴え、馬尾症状を示した。同症状は3日間で自然消失したが、術後10日のMRIで亜急性期の腰椎硬膜下血腫がみられた。同病変の危険因子がなく、発症が歩行開始時に一致し、MRI上の血腫の時期が開頭術時に生じたと判断できることから、開頭術野での硬膜下腔の血液貯留が、重力により腰椎硬膜下腔へ移動したものと考えられた。開頭術に脊髄硬膜下血腫を合併することは極めて稀であるが、術後に脊髄症状を呈した場合、一原因として考慮すべきと考え報告した。
  • 小畑 仁司, Akinori KONDO, Koichi IWASAKI, Itaro HATTORI
    1999 年39 巻4 号 p. 302-307
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    47歳男性。3週間前に頭痛で発症し次第に増強。右側脳室前角に接して尾状核頭部に血腫を認めた。次第に意識レベルが低下したため、経脳室的に血腫を除去すると、易出血性の細かな異常血管とred veinを認め、これを摘出した。60歳男性。8日前から左下肢の脱力にて発症。右側脳室に接して視床に血腫を認めた。次第に意識レベルが低下した。経シルビウス裂的に血腫と索状組織を摘出した。第1例は脳動静脈奇形、第2例は海綿状血管腫であった。稀な脳室上衣下出血で発症し、脳血管撮影、CT、MRIで出血源を診断し得なかった点、繰り返し出血し亜急性進行性の神経症状の悪化をきたした点が2例の特徴であり、早期の手術治療による診断確定を要する。
  • 山内 利宏, Motoo KUBOTA, Naokatsu SAEKI, Naoto AIHARA, Yasuo IWADATE, Akir ...
    1999 年39 巻4 号 p. 308-312
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    中枢神経系では頚静脈孔や馬尾に好発するParagangliomaが、前頭蓋底に発生した稀な1例を報告する。症例は56歳の女性で頭痛で発症し、画像上前頭蓋底部に嚢胞成分を伴い、MMAをmain feederとするhyper vascularな腫瘍を認めた。手術により全摘し、光顕所見では本腫瘍の特徴所見であるZellbaren Patternを認めParagangliomaの診断を得た。後療法は無く術後2年経た現在も再発はない。本腫蕩のテント上発生例は非常に稀であり、トルコ鞍周囲に好発する。画像所見上、術前に髄膜腫との鑑別が困難で、非常に易出血性の腫瘍であり、手術の際は念頭に置くべきである。
  • M. Faik ÖZVEREN, Ahmet KAZEZ, Hasan ÇETIN, Ibrahim M. ZIYA ...
    1999 年39 巻4 号 p. 313-315
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    A 3-day-old male neonate presented with migration of the ventriculoperitoneal (VP) shunt tip through the patent processus vaginalis resulting in scrotal hydrocele. The association of myelomeningocele with hydrocephalus may have been a predisposing factor in this rare complication. Development of scrotal swelling or hydrocele in a child with VP shunt should be recognized as a possible shunt complication.
  • 永田 和哉, Shunsuke KAWAMOTO, Jun SASHIDA, Tadashi ABE, Akitake MUKASA, Yo ...
    1999 年39 巻4 号 p. 316-319
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    脳外科手術時の硬膜欠損に対してゴアテックス人工硬膜を使わざるを得ない現在、その縫合部からの髄液漏れは大きな問題となっている。我々は吸収性のメッシュとフィブリン糊を組み合わせた新しいシール法を開発した。メッシュにあらかじめフィブリノゲン液を浸潤させて貼付した後、上からトロンビン液を滴下させてメッシュ全体を固めるものである。本法を用いない例では59例中12例で髄液皮下貯留が見られたのに対し、この方法でシールした33例中髄液漏れが観察されたのは1例のみであった。本法は小範囲の硬膜欠損や脊髄手術時のくも膜縫合などにも応用が可能と思われる。本法の実際の使用法を供覧する。
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