1999 年 39 巻 8 号 p. 575-584
栓子法によるラット中大脳動脈閉塞モデルにおいてTUNEL法による組織学的検索を経時的に行い,永久閉塞群と60分虚血再潅流群の間で比較検討した.両群共に梗塞巣内にapoptotic cellが散見されたが,border zoneでは有意に多かった.永久閉塞群では再潅流群に比し梗塞巣は大きく早期よりapoptotic cellも多く出現しており,虚血が強いほどapoptosisが誘導されることが示唆された.再潅流群ではapoptotic cellは虚血作成後7日目まで認められ,apoptosisがdelayed infarctの形成に関与している可能性が示唆された.また反対側の脳梁にもapoptotic cellは散見され,脳浮腫がapoptosisを惹起したものと考えられた.