Neurologia medico-chirurgica
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39 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 宇野 昌明, Shin UEDA, Kiyohito SHINNO, Kyoko NISHI, Kazutoshi NISHITANI, S ...
    1999 年 39 巻 8 号 p. 567-574
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    頸動脈内膜剥離術(CEA)を施行した72例に脳血管撮影時に冠動脈撮影を施行し,冠動脈の狭窄の程度をGensi score(GS)で評価した。心筋虚血の既往があった14例でのGSは既往がなかった群(n=58)のGSより有意に高かった。(37.9 ± 36.8 vs 7.9 ± 12.5, p<0.0001)。しかし既往がなかった群でもGSが6以上の症例が39.7%に認められた。72例中14例(19.5%)に対して冠動脈血行再建術をCEAの前後で施行した。冠動脈撮影を施行した群では周術期および追跡時に心筋虚血を呈した症例はなかったが、冠動脈撮影を施行しなかった群(n=189)では2例が術後に、追跡時に18例が心筋虚血で死亡した。冠動脈病変の評価と治療がCEAの予後を改善することを示した。
  • 山田 昭, Mitsuo ISONO, Shigeaki HORI, Tsuyoshi SHIMOMURA, Toshihisa NAKAN ...
    1999 年 39 巻 8 号 p. 575-584
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    栓子法によるラット中大脳動脈閉塞モデルにおいてTUNEL法による組織学的検索を経時的に行い,永久閉塞群と60分虚血再潅流群の間で比較検討した.両群共に梗塞巣内にapoptotic cellが散見されたが,border zoneでは有意に多かった.永久閉塞群では再潅流群に比し梗塞巣は大きく早期よりapoptotic cellも多く出現しており,虚血が強いほどapoptosisが誘導されることが示唆された.再潅流群ではapoptotic cellは虚血作成後7日目まで認められ,apoptosisがdelayed infarctの形成に関与している可能性が示唆された.また反対側の脳梁にもapoptotic cellは散見され,脳浮腫がapoptosisを惹起したものと考えられた.
  • 大吉 達樹, Masaki NAKAYAMA, Jun-ichi KURATSU
    1999 年 39 巻 8 号 p. 585-591
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    亜熱帯に属する奄美大島において1986年から1996年の間に脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血と診断された210例を対象にクモ膜下出血発症と亜熱帯の気象変化に対する影響を検討した.患者の平均年齢は64.3歳.年間平均発生率は15.5人/10万人(男性:10.4,女性:20.6).70歳以上の女性患者発生率は男性の3.1倍であった.発生率と季節変動の変化に有意な相関は得られなかった.また月別発生率と気温,気圧や湿度と関係も有意な相関はなかった.しかし発生率は高齢者と女性において冬と春に高い傾向があり,特に65歳以上の高齢の女性は若年者に比べ気象条件の変化により強く影響を受けていると考えられた.
  • 五十嵐 啄司, Naokatsu SAEKI, Akira YAMAURA
    1999 年 39 巻 8 号 p. 592-599
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    トルコ鞍部腫瘍で無症候性か,一過性の症状のため経過観察した成人23症例から,その自然歴・手術適応を考察した.観察期間5.1年(1.5-11.6).<嚢胞性10例>3例は頭痛で発病.腫瘤径は信号強度の変化に伴い減少.4例は視野障害で発病し,腫瘍径の縮小に伴い症状は消失.うち3例で再発し手術を施行.組織はラトケ嚢胞.3例の偶然発見例は無症状で経過.<実質性13例>14mm以上の径の9例中6例は4.9年(1.5-8)後症候性となり治療を要した.他の例は変化無し.嚢胞例では高頻度に症状の変化に一致して径の減少を確認.無症候性か一過性の症状の嚢胞例では経過観察が推奨出来る.実質例で14mm以上の径を有する例では積極的な治療を要する.
  • 谷中 清之, Shozo NOGUCHI, Hiroko MARUNO, Kotoo MEGURO, Tadao NOSE
    1999 年 39 巻 8 号 p. 600-605
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    外頸動脈内膜剥離術後に内頸静脈壁を用いてpatch angioplastyを施行した2例を報告する。両症例は一過性の左片麻庫で来院し、CTで多発脳梗塞を認めた。脳血管撮影では右内頸動脈は閉塞し、外頸動脈から眼動脈を介し頭蓋内が灌流されていた。その外頸動脈起始部に症例1では約70%、症例2では約90%の狭窄を認めた。外頸動脈起始部狭窄に対し内膜剥離術を施行し、内頸動脈のstumpを処理すると同時に内頭静脈壁を用いて血管形成を行った。外頸動脈は内頸動脈と比して細く、剥離術後に内頸静脈を用いて血管形成する方法は比較的容易で効果的であった。外頸動脈の内膜剥離術に関する注意点をふまえ報告する。
  • 清水 克悦, Yoshiaki TAKAMIYA, Shigeru FURUHATA, Heiji NARITAKA, Toru KAMEY ...
    1999 年 39 巻 8 号 p. 606-611
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は38歳男性、19年前に下垂体腺腫にて腫瘍摘出術を施行した。今回歩行障害、嚥下障害を来たし頭部CT,MRIにて大孔部にcystic tumorを認めた。transchondylar approachにて腫瘍摘出し症状は軽快した。病理所見は典型的下垂体腺腫でMIB-1、p53染色陰性であり、明らかな悪性所見は認められなかった。遠隔転移をきたす下垂体腺腫はpituitary carcinomaとして知られているが、本症例のように原発腫瘍の診断から10年以上経過した後に転移を認めるケースもあり悪性所見を示さない下垂体腺腫においても遠隔部転移を考慮にいれ注意深くfollow-upする必要があると思われる。
  • 藤田 敦史, Masahiro ASADA, Minoru SAITOH, Hidemi NAKAMURA, Shuji KAMIKAWA, ...
    1999 年 39 巻 8 号 p. 612-616
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    MRI上特異な進展形式を示した松果体芽腫の一例を報告した.症例は19歳男性.主訴は頭痛,神経学的には両側鬱血乳頭を認めた.CTにて石灰化を伴う松果体部腫瘤,閉塞性水頭症を認めた.MRIにて松果体部に主座を置く腫瘍は中脳水道を介して第四脳室内まで浸潤していたが,腫瘍に接する周囲の構造物の形態は保たれ,圧迫所見を認めなかった.神経内視鏡下に腫瘍生検,第三脳室底開窓術を行った.組織診断は松果体芽腫であり,術後全脳全脊髄照射を施行し,画像上腫瘍の完全消失を認めた.松果体芽腫は周囲を圧迫しながら浸潤発育し,高率に髄腔内播種を認める.これまでに周囲の構造を保ちながら第四脳室内にまで進展した報告は認めなかった.
  • 岩井 謙育, Kazuhiro YAMANAKA, Hideki NAKAJIMA, Taku MIYAURA
    1999 年 39 巻 8 号 p. 617-620
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は31歳女性。突然の頭痛と右眼窩部痛にて発症。既往歴として、10年前に右側大脳基底核部海綿状血管腫にて部分摘出を受け、以後左不全片麻痺を認める。神経学的には、右側の視力低下、左同名側半盲と左不全片麻痺を認めた。MRIでは、視交叉から右側視神経にかけてT2強調像にて周辺に低吸収域のrimを持ち、内部は不均一な信号強度を示す病変を認め、同じ病変は右大脳基底核にも見られた。右側pterional approachにて手術を行い、血管腫を全摘出した。術後、軽度右眼の視力の改善を認めた。同部位の海綿状血管腫は、MRIにて特徴的な所見を示し、手術摘出も周辺のグリオーシスからの剥離、摘出は比較的容易であると考えられた。
  • 加川 玲子, Yoshikazu OKADA, Takeshi SHIMA, Masahiro NISHIDA, Kanji YAMANE
    1999 年 39 巻 8 号 p. 621-624
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    64歳女性で孤立性の脳幹部膿瘍を認めた症例を報告した。初発症状は複視と頭痛で、神経所見は右動眼神経麻庫および両眼の左向き眼振であった。発症時のCT及びMRIは異常を認めず、血液検査上も炎症所見は見られなかったため、虚血性疾患として治療を受け、1カ月後に症状は消失した。その後、神経症状の再燃及び髄膜炎様の所見等が見られ、4カ月後の画像検査で脳幹部に膿瘍の形成が見られた。第4脳室経由で膿瘍の穿刺排膿ドレナージを施行し、術後のCT及びMRIで膿瘍は消失した。本例ではMRIおよびCTで脳幹部膿瘍の形成と改善を経時的に観察することが出来た。画像検査による経過観察が、治療方法の決定に重要であった。
  • 小山 徹, Sumio KOBAYASHI, Chiharu OBINATA, Takehiro YAKO, Shigeaki KOBAYA ...
    1999 年 39 巻 8 号 p. 625-628
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/03/27
    ジャーナル フリー
    従来使用されているカップ型の生検鉗子は採取できる組織片が小さく、鉗子の開閉による周囲組織の損傷もおきやすい。吸引型の生検針では比較的大きな組織片が得られ、一本の軌道に沿って連続的に生検しやすく、脳腫瘍の組織診断に適している。我々は杉田式定位脳手術フレームにSedan式側孔型生検針を固定するための器具を作成して生検を行い、カップ型の生検鉗子の欠点を補った生検を施行した。大学病院の関連病院では同じ様式の定位脳手術フレームが使用されていることが多く、この生検針と固定器具を各関連病院へ持ち運んで使用することにより、安価で合理的な生検が可能であった。
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