抄録
症例は39歳男性。T-1の前根より発生した脊髄腹側にある脊髄神経鞘腫によって重度の脊髄症状を呈していた。Th1のhemilaminectomyにfacetectomyを加えた後側方からのアプローチによってこの腫瘍を全摘出した。術後、手術による合併症なく脊髄症状の著明な改善を認めた。T-1の椎骨は他の胸椎と比べ、横突起がより外側に開き、また脊椎管の幅が広いという解剖学的特徴がある。そのため横突起ましては肋骨の切除を加えることなく後側方からのアプローチで、脊髄腹側にあるT-1脊髄神経鞘腫を安全に摘出し得た。