看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2023東京
セッションID: 2023.1_S2-2
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シンポジウム2
周産期メンタルヘルスケア-助産師の心理支援質向上に向けて-
*小澤 千恵
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抄録

近年、わが国の社会構造の変化によって、養育環境は著しく変化し、母親の育児不安やこころの問題が顕在化してきている。それに加え、2020 年より流行 しているCOVID-19 は、妊産褥婦、またその家族に多岐にわたり影響をもたらし ており、精神保健に携わる医療従事者には、今まで以上のサポートを行うことが 求められるようになってきている。周産期メンタルヘルスの中で発症率の高い周 産期うつ病は、早期発見、早期介入により、病態を改善することができると言わ れており、周産期にある女性に対して密に関わることのできる医療従事者、特に 助産師の行う支援は大変重要となる。しかし、医療従事者は妊産褥婦への支援 体制を強固にしなければならないという使命がある一方で、援助を求めている 妊産褥婦に対し、十分な支援ができていない場合もある。

周産期ケアを行う医療従事者は、妊産褥婦の背景にある問題点を整理しなが ら、具体的にその困っている点を抽出することが重要となる。そして、心身のリス クを十分に把握し、予防的・治療的な関わりをすることで母子ともに健康な状 態で生活することができる。そのためには、周産期医療従事者が精神的不調を きたしている女性を発見する能力を身に着けることは不可欠であり、それと同時 に共感的な対応で接することや相手のペースで話をするなどの心理援助の技術 を向上させることも大切となる。周産期医療従事者が質の高い心理援助を行う ことは、周産期にある女性のみならず、乳幼児や家族にとってもより良い未来へ とつながると考えられその意義も大きい。

今回のシンポジウムでは、助産師の行う心理支援の質の向上に向けて、必要 とされていることは何かについて考えていきたい。

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© 2023 本論文著者
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