日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
エリソルビン酸のポーラログラフ的研究(第1報)
エリソルビン酸の定量について
梶田 武俊
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1963 年 10 巻 2 号 p. 57-61

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抄録
(1) エリソルビン酸のポーラログラムをpHを変えてとるとき,6.0~7.0においてもっとも測定しやすい酸化波を示し,濃度と波高とは比例的直線関係にあるため,波高の測定から未知濃度溶液中のエリソルビン酸を定量することができる。なお定量において温度および水銀圧を一定に保つことは,定量上きわめて肝要なことである。
(2) エリソルビン酸とアスコルビン酸は同一電位を示し,共存する場合は合波となって現われるため分離定量は不可能である。
(3) エリソルビン酸およびアスコルビン酸がタンニン酸,ニコチン酸,ハイドロキノン,EDTAなどと共存する場合はいずれも2段波となって現われる。しかしこれらが共存してもまた鉄,マンガンなどの金属イオンが共存しても,エリソルビン酸のポーラロ波には全く影響がみられなかった。
(4) エリソルビン酸ならびにL-アスコルビン酸の拡散電流,酸化電位はメタリン酸およびシュウ酸の濃度によって左右され,濃度が高くなるに従って拡散電流すなわち波高は減少し電位は(+)側に転移する。この現寒はおそらく溶液粘度に起因するものと思考される。
(5) 熱に対しまた銅イオンならびにアスコルビン酸酸化酵素による酸化に対する安定度は,エリソルビン酸よりもアスコルビン酸のほうが大であることを認めた。
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