日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
柑橘類内果皮パルプのゲル化について
白井 裕永田 善次
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1963 年 10 巻 5 号 p. 179-182

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抄録

温州ミカンおよび夏柑の内果皮より製造したパルプ状粗ペクチンと水飴を用い,ゲル化する場合のゲル化のopt. pHについて検討した。
(1) MパルプとSパルプのゲル化のopt. pHは明らかに異なり,前者においては2.8~3.1,後者においては3.5~3.6を示した。
さらに粉末ペクチンを添加した場合はSパルプを用いたゲルではopt. pHが酸性側へ移動が認められたが,Mパルプにおいては顕著な差は認められなかった。
(2) MおよびSパルプのopt. pHの異なる原因の1つとして,抽出条件によるペクチンの劣化によるのではないかと考え,パルプ状粗ペクチンとして製造されたものをさらに加熱してH-P/T-Pを変え試料を調整した。ゲル化のopt. pHについては変化なく,ただ再加熱によるゲル強度の低下のみ認められた。
(3) リンゴパルプにMおよびSパルプを加へてゲル化した場合,SパルプはジャムのpHの比較的高い例においてゲル強度の増加を示し,MパルプにおいてはpH 3.60~3.30においてはほとんどゲル強度の増加を示さず,(1)および(2)の結果と一致する。

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