日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
電子レンジによるビタミンの変化と脂肪の酸化状態
稲垣 長典西尾 正子服部 マリ子
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1965 年 12 巻 7 号 p. 282-287

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抄録

(1) 電子レンジによる食品中の微量成分の変化をみるために,まず各種ビタミンの変化と脂肪の酸化状態を調べた。
(2) ビタミンAについてはレンジ,オーブン同様でともにAの損失は少ない。B1については濃度1000γ%の場合沸騰に達する時間でレンジにては約5%,オーブンにては約12%の損失があり,レンジのほうが損失は少ない。B2についてはB1ほど損失大でなく,レンジでもオーブンでも大差ない。Cについては高濃度にてはレンジ,オーブンに差はないが低濃度になるに従いレンジのほうが残存率高くなる。すなわち10mg%の液を沸騰させるまでにレンジでは約10%,オーブンでは約30%の損失である。これらの傾向は食品の場合でも同様であった。
(3) 脂肪の酸化状態を酸価,過酸化物価,TBA値カルボニル価より検討した結果,加熱により酸化されるがレンジ,オーブンの間には大きな差はなかった。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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