抄録
クリ果実組織の顕微鏡観察により,中心部空隙周辺,幼芽部,最外層には澱粉含量少なく,澱粉粒子は中心部のほうが大きく,外部のものが小さいことを知った。澱粉粒には大小2群存在し,それぞれ平均9.2μ, 4.0μ前後の円形または隋円形であった。
クリ澱粉精製過程中にヨード呈色によるアミロース定量値が減少し34.3%から24.1%となった。ノリ化点は68°~70℃に存在し,澱粉粒崩解と粘度増加との間には密接に関連し,74°~76℃で急激に粘度増加が起こり,80℃で最高に達した。澱粉の比重は平均1.539であった。赤外吸収スペクトルはコメ澱粉とほとんど完全に一致した。