日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
凍結乾燥食品の貯蔵に関する研究(第5報)
酸化防止剤および貯蔵方法がカキ(貝)の品質に及ぼす影響
山崎 濶砂川 満男今井 寛
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1966 年 13 巻 12 号 p. 522-527

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抄録
抗酸化剤,EDTAで処理した凍結乾燥カキの貯蔵中における品質変化について試験を行なうとともに凍結乾燥カキを粉末,固形の状態で貯蔵した場合の色調の変化および窒素ガス,生石灰などの封入効果について検討し,つぎの結果を得た。
(1) 凍結乾燥生カキを粉末にして貯蔵すると褐変が著しく促進され,3℃で2~5ヵ月間貯蔵した場合,粉末カキの色差の変化は固形カキの2倍の値を示した。
(2) 抗酸化剤および抗酸化剤+EDTAで処理したカキは無処理のものに比べ貯蔵中における褐変が抑制され,窒素ガス,生石灰を封入したものは乾燥直後の色調を保持し得た。
(3) 凍結乾燥カキの貯蔵中における塩溶性区蛋白,水溶性区蛋白の溶解性は貯蔵後2~3ヵ月の間に急激に低下し,とくにミオミン区蛋白は溶解性をすみやかに失なうようである。
また,抗酸化剤,EDTAで処理しても蛋白質の溶解性にはほとんど影響がなかった。
(4) 抗酸化剤,EDTAで処理したカキに窒素ガスを充填して貯蔵すると脂質の変化を抑制することが推測されるが,このことについては今後検討を試みたい。
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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