日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
クリの成分と加工法に関する研究(第3報)
比重別生および水煮クリ果の成分
真部 孝明久保 進別所 康守児玉 雅信
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1966 年 13 巻 12 号 p. 517-521

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抄録
クリ果を塩水選で比重ごとに分割し,全果,剥皮果との間の比重分布関係を調べ,各比重区ごとの生および水煮果の成分の相違,硬度の違いなどについて検討した結果を要約するとつぎのとおりである。
(1) 全果と剥皮果との間には密接な関係があり,全果での比重選を行なえば工場管理上十分と考えられた。
(2) 比重の大きいものは小さいものに比べ水分含量少なく,澱粉,粗脂肪含量が高いが,水煮するとこの傾向は少なくなった。
(3) 水煮処理で吸水する度合いは比重の大きい,水分含量の少ないものほど大きいが,水煮後も各比重区とも,その傾向は残る。
(4) アミロース含量は比重の大きいものほど少なく6>, 10<の間には10%程度の差が認められた。水煮によっていずれの区も約5%の低下が見られた。
(5) 比重の大きいものほど硬度も大きいが,6>,6~8には余り差がなく,8~10, 10<で大きかった。
(6) クリ果の窒素区分は水溶性のものが大半を占め窒素として70%前後であるが,水煮すると水溶性のものは減少し30%程度となる。
(7) 各比重区と窒素区分を乾物当たりで比較すると,比重の大きいものほど全窒素少なく,また水溶性,食塩水可溶性窒素も少ないが両者に不溶のもの,および非蛋白態窒素は逆に多くなっている。
しかし水煮するとこれらの傾向はなくなる。
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