日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
バター脂肪のエステル交換による変化
張 堅二山内 邦男津郷 友吉
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1969 年 16 巻 10 号 p. 446-452

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抄録

(1) バター脂肪をランダムエステル交換(random interesterification)するときの条件を細かく検討した結果,触媒(ナトリウムメトキサイド)量0.3%, 60℃で1時間処理を適当と認めた。
(2) バター脂肪のエステル交換による性質の変化を調べた結果,融点と高融点グリセリド(HMG)含量は処理により増大した。硬度の変化は試料により異なった。また,エステル交換によりパルミチン酸(C16)がHMGに集中してくることが認められた。
(3) 結晶化法で分別したバター脂肪のフラクションの性質を調べた結果,沃素価,融点および硬度はフラクション間で著しく相違した。このフラクション間の性質の相違はバター脂肪をあらかじめエステル交換したときにさらに増大した。C16酸は天然のバター脂肪では各フラクションに比較的均等に分布しているが,エステル交換すると高融点側のフラクションに集中する傾向があり,C18-1では逆の傾向が認められた。
(4) エステル交換したのちに結晶化法で分別したバター脂肪の各フラクションをさらにそれぞれエステル交換したときの性質の変化を調べた結果,高融点側のフラクションは再処理によりあまり変化しなかったが,低融点のフラクションは再処理により明らかに変化することを認めた。

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