日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
凍結乾燥食品の油脂の酸化防止法に関する研究
(第3報)凍結乾燥食品における香辛料と野菜の抗酸化性について
藤尾 秀治日吉 明浅利 喬泰住江 金之
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 16 巻 6 号 p. 241-246

詳細
抄録

凍結乾燥食品に配合される香辛料と野菜類の抗酸化効果を知るため,ラードとCMCからなるモデル食品および豚肉にそれぞれマスタードなど6種の香辛料精油およびそれらの主要精油成分12種,ネギ,ニンニク,ショウガの3種を別個に加えて凍結乾燥した試料を保存し,その間における酸化の動向を求めた。また,ネギ,ニンニク,ショウガは上記のように混合せず同一乾燥室内で分置乾燥したモデル食品および無処理の凍結乾燥肉に乾燥ネギなどをそれぞれ同封保存したものについても上記と同様に実験を行なった。
(1) 香辛料精油では,クローブ,タイム,ナッツメッグなどに強い抗酸化性を認め,ペッパー,マスタードにはほとんど認められなかった。
(2) 香辛料に含まれる各種精油成分の抗酸化性は,チモール,オイゲノールなどのフェノール系化合物が強く,リナロール,シネオール,カンフェンなどは弱かった。
(3) ニンニク,ネギの揮発成分は,分置乾燥した場合にも移行によると思われる酸化抑制効果が認められ,かつ,同封保存の場合には,さらにその効果は強く,とくにニンニクにおいて顕著であった。また,,これらの揮発成分のうち,ニンニクのアリルジサルファイド,およびネギのアリルサルファイドを混入した場合,著しい抗酸化性が認められた。
(4) ショウガを分置乾燥した場合は,ほとんど酸化抑制効果が認められなかったが,同封保存の場合には,かなりの効果を示した。また,ショウガの辛味成分であるジンゲロン,ショーガオールを混入した場合,著しい抗酸化性が認められた。

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
次の記事
feedback
Top