日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
緑茶の滋味と化学成分組成との相関
中川 致之
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1969 年 16 巻 6 号 p. 252-258

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抄録

(1) 上級,中級,下級煎茶,玉露の1煎,2煎,3煎液を調製し,15人のパネルによる滋味の評価を行なったところ,5%の有意水準で玉露,上級,中級煎茶の1煎がうまいこと,3煎はすべてまずいこと,上級煎茶の2煎はうまいと考えられることが判明した。
(2) 個々のパネルの評点についてみると,判定ミスではないかと思われるばらつきがみられたが,総合した結果ではきわめて妥当な線が得られた。また,パネルの滋味評価を全体的にみると一致度が高かった。
(3) われわれがうまいと思う煎汁は,カテキン,アミノ酸類,カフェインを多く含み,しかもアミノ酸類の比率の高いものであることが認められた。
(4) 従来,緑茶の滋味に悪い効果を与えるといわれていたエステル型カテキン(ガレート)は,通常およびそれ以下の濃度の煎汁では,滋味を高めることが示された。
(5) 原料の茶と,その煎汁の化学成分組成は,一般によく似ているが,カテキンの浸出状況にはばらつきがあった。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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