日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
核磁気共鳴(NMR)吸収により魚肉中の水の状態を測定する試み
鈴木 たね子竹内 誠
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1970 年 17 巻 3 号 p. 110-112

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抄録

(1) 鮮肉中の大部分の水は自由度が高く,共鳴線巾は狭く,ブロードラインNMRスペクトルからは多くの知見が得られなかった。
(2) 高分解能による水プロトンのスペクトルでは,鮮肉の水は見掛け上非常に自由度が高く,水分42.8%に乾燥したものは著しく共鳴線巾が広っている。さらに脱水すると共鳴線巾は広がり見掛け上水の自由度は失なわれると解された。またある限度以上脱水が進むと共鳴線は再び狭くなることが観察された。
(3) 脱水とともに水プロトンのスペクトルの型は非対称型となり魚肉中にいろいろの状態の水が存在しており,それらの水は脱水処理に対して安定度が異なっていると解釈された。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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