日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
トマト製品の褐変機構に関する研究
(第1報) トマト製品の色調劣化
足立 由郎鵜飼 暢雄小菅 貞良
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 17 巻 8 号 p. 337-342

詳細
抄録

トマトピューレーの貯蔵中の成分変化と表面色の劣化の原因につき検討を行ない,次の結果を得た。
(1) トマトピューレーを37℃で,3カ月,6カ月間保存すると表面色が褐変して商品価値が劣る。この製品の色素の分析をした結果,リコピン,カロチンの減少は僅少であったが,水溶性色素の増加が認められた。
(2) ピューレー保存中直接還元糖とビタミンCは減少し,滴定酸度は増加した。紫外部に吸収をもつHMFも増加した。
(2) モデルのトマトピューレーを調製し,37℃で保存した結果,トマト漿液を使用したピューレー区の変色が大きく,とくに漿液濃度を高くすると,比例して色差も大きくなることから,トマトピューレーの表面色の劣化の主原因は漿液部の褐変にあることが証明できた。

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top