1970 年 17 巻 8 号 p. 337-342
トマトピューレーの貯蔵中の成分変化と表面色の劣化の原因につき検討を行ない,次の結果を得た。
(1) トマトピューレーを37℃で,3カ月,6カ月間保存すると表面色が褐変して商品価値が劣る。この製品の色素の分析をした結果,リコピン,カロチンの減少は僅少であったが,水溶性色素の増加が認められた。
(2) ピューレー保存中直接還元糖とビタミンCは減少し,滴定酸度は増加した。紫外部に吸収をもつHMFも増加した。
(2) モデルのトマトピューレーを調製し,37℃で保存した結果,トマト漿液を使用したピューレー区の変色が大きく,とくに漿液濃度を高くすると,比例して色差も大きくなることから,トマトピューレーの表面色の劣化の主原因は漿液部の褐変にあることが証明できた。