日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ウニ卵の脂質に関する研究
(第1報) ウニ卵脂質の塩蔵中の化学的変化について
藤野 安彦根岸 孝馬谷 公子
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1970 年 17 巻 8 号 p. 343-349

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抄録

(1) 生ウニと塩ウニの脂質から非極性脂質および極性脂質を分画した。両者の割合は,生ウニで3:1,塩ウニで4:1であった。
(2) 非極性脂質として生ウニにも塩ウニにも炭化水素,ステロールエステル,トリグリセライド,脂肪酸,ステロールおよびモノグリセライドの存在が認められた。生ウニに比べて塩ウニでは,トリグリセライドの減少と遊離の脂肪酸の増加が見られた。
(3) 極性脂質として生ウニにも塩ウニにも,ホスファチジルエタノールアミン,レシチン,スフィンゴミエリンおよびリゾレシチンの存在が認められた。生ウニに比べて塩ウニでは,レシチン,ホスファチジルエタノールアミンの減少とリゾレシチンの増加が見られた。
(4) ウニの塩蔵中に結合型脂肪酸のうち,C18~C22の脂肪酸の一部(いずれも不飽和酸)が他の脂肪酸よりも比較的多く遊離された。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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