日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
豚の臓器を利用する特殊塩辛の速醸法
高橋 重作
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1970 年 17 巻 9 号 p. 412-415

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抄録

豚の肝臓磨砕物に対し,胃の切片を配合して基質とし,これに酵素または酵素源を添加して発酵を行なう塩辛の速醸法を開発した。研究の結果は次のように要約される。
(1) 肝臓と胃との,とくに好ましい配合は60:40から70:30までであることを確かめた。
(2) 発酵試験によって,速醸塩辛が基質100g当たりパパイン0.1gかまたはすい臓磨砕物10gかを添加し,30℃,24時間の発酵によって造られること,なおまた,すい臓を用いた塩辛が風味のうえでとくに好ましいことを確かめた。
(3) 塩辛の生臭いにおいは,75℃,40分間の殺菌によりほとんど完全に脱臭されることを確かめた。
(4) 塩辛の原料に対し,60ppmの亜硝酸カリウムまたは30~60ppmの亜硝酸ナトリウムの添加が,殺菌などによる塩辛のカッ変を防ぐために非常に有効であった。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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