日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
17 巻, 9 号
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  • (第2報) コクゾウとココクゾウのγ線に対する感受性
    三井 英三, 宮川 規矩子, 川嶋 浩二, 梅田 圭司, 佐藤 友太郎
    1970 年 17 巻 9 号 p. 379-384
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 60Coを線源とするγ線照射により,コクゾウおよびココクゾウに対する殺虫線量,羽化阻止線量,不妊化線量を求め,比較を行なった。
    (2) コクゾウおよびココクゾウ成虫(羽化7日後のもの)のγ線感受性は,照射後3週間目で,それぞれLD99が約7.5Kradおよび約8Krad, LD50が約4Kradおよび約5Kradであった。すなわち,コクゾウ成虫のほうが,ココクゾウ成虫よりγ線への感受性が高かった。
    (3) γ線照射における線量―死亡率関係においてプロビット変換した死亡率に対して,線量の対数をとるよりも,実線量そのままの値をプロットしたほうが,直線関係を満足した。
    (4) 蛹,4令幼虫,3令以下の幼虫のγ線照射に対する感受性は,コクゾウとココクゾウの間に大きな差は認められなかった。
    (5) 放射線感受性は若い卵ほど高く,又コクゾウとココクゾウの間に大きな差は認められなかった。
    (6) γ線照射に対する感受性の各発育令期間における差をみると,コクゾウ,ココクゾウのいずれの種についても発育令期が進むに伴って感受性が低くなる傾向,いいかえれば,卵<3令以下の幼虫<4令幼虫<蛹<成虫の順に抵抗性が強くなった。
    (7) 10Kradの照射を受けた成虫,および,10Krad照射された卵,幼虫,蛹,から羽化してくる成虫は完全に不妊化された。
  • (第1報) でんぷんの焙焼香気成分の捕集分画ならびに
    清水 康夫, 松任 茂樹, 水沼 保之, 岡田 郁之助
    1970 年 17 巻 9 号 p. 385-390
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    でんぷんの熱分析を行ない,でんぷんの熱学的な性質を明かにした。熱分析器の排気孔における官能検査の結果は,熱分析曲線の傾向とよく一致し,160℃付近より香気の生成を感じ,220℃になるとはげしくなり,強い煙臭およびフルフラール系化合物の香を感じた。
    でんぷんの焙焼香気成分をトラップを用いて捕集し,中性部,酸性部,弱酸性部にそれぞれ分画を行なった。弱酸性部は特徴ある芳ばしい香を有し,酸性部は強い酸臭を有し,中性部は焦げ臭を含む香気をもっていた。
    カルボニル化合物を2, 4-DNPHとして捕集し,2, 4DNPHの直接ガスクロマトグラフィーによって分析を行ない,methanal, ethanal, propanone, 2-methylpropanal, n-butanone, 3-pentanone, furfural, acetylfuran, 5-methylfurfuralを同定した。
    オキソ酸の2, 4-DNPHはメチルエステルに導き,ガスクロマトグラフィーを行ない,glyoxylic acid, pyruvic acid, α-ketobutyric acidおよびlevalinic acidを同定した。
    5-Hydroxymethylfurfuralを2, 4-DNPHとして単離同定し,bis-2, 4-DNPHとして,glyoxal, pyruvaldehydeおよびdiacetylを推定した。
    以上同定あるいは推定されたカルボニル化合物は,いずれも特徴ある香気を有し,でんぷんの焙焼香気に関係の深い化合物である。
  • (第2報)Maltol, 5-methylcyclopent-2-en-2-ol-1-oneおよびフェノール性化合物の単離同定
    清水 康夫, 松任 茂樹, 水沼 保之, 岡田 郁之助
    1970 年 17 巻 9 号 p. 391-396
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    でんぷんの焙焼香気成分の水酸化ナトリウムに溶解する画分について,ガスクロマトグラフとマススペクトロメーターを直結した,いわゆるGC-MSを用いて詳しく検索を行ない,さらにガスクロマトグラフイーにより物質の単離を行ない,でんぷんの焙焼芳香成分として,5-methylcyclopent-2-en-2-ol-1-oneおよびmaltol,煙臭成分としてphenol, m-cresol, pyrocatechol, resorcinolおよびhomocatecholを同定した。
    5-Methylcyclopent-2-en-2-ol-1-oneはmaltolとともに“砂糖よう”の芳香をもつ化合物であって,でんぷんなど炭水化物を含む食品の焙焼香気の芳香を形成する化合物であることを明らかにした。
    Homocatecholなどフェノール性化合物は煙臭を構成する成分であると思われる。
  • (第3報)有機酸の単離同定
    清水 康夫, 松任 茂樹, 水沼 保之, 岡田 郁之助
    1970 年 17 巻 9 号 p. 397-401
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    でんぷんの焙焼香気成分の炭酸水素ナトリウム可溶部は強い酸臭を含む芳香をもっている。揮発性有機酸については直接ガスクロマトグロマトグラフィーを行ない,acetic acid, propionic acid, n-butyric acid, iso-butyric acid, n-valeric acid, iso-valeric acid, crotonicacid, iso-caproic acid, n-caproic acidなど9種の化合物を同定した。
    不揮発性有機酸については,カラムクロマトグラフィーを行ない,それぞれの画分をTMS化合物に導き,ガスクロマトグラフイーを行ない,主たる成分についてマススペクトロスコピーによって同定を行ない,benzoicacid, 2-furoic acid, glycolic acid, succinic acid,methylsuccinic acid, fumaric acid, oxalic acidを同定した。
    これらの化合物のほか,さきに水酸化ナトリウム可溶部画分中に芳香成分として単離同定された,maltol, 5-methylcyclopent-2-en-2-ol-1-oneなどの存在が認められた。
  • (第1報) 手延素麺製造中の厄現象を対象として
    新原 立子, 桜井 芳人
    1970 年 17 巻 9 号 p. 402-407
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 不飽和脂肪酸を組成分とする脂肪(アマニ油)と蛋白質,アミノ酸などの含窒素物あるいは澱粉,糖のような無窒素物とを混合放置する場合,まず脂肪は酸化されてPOV値が上り,次いで下降する。
    (2) POVは湿度が低いときに早くあがり,その後減少するが,湿度が高くかつ蛋白質が共在する場合はPOVの上り方が少なく,減少は早い。そして褐色が現われる。
    (3) 脂肪と含窒素物とを混合して高湿で放置した場合は,無窒素物と混合放置した場合と異なり脂肪の酸化はあるところで止るが,これは生成した褐変物質に抗酸化力があるためと判断される。
    (4) 蛋白質として小麦グルテンを用いた際は低湿では性状変化はないが,高湿で放置した際は水を加えた際のゲル形成能を失ない,湿グルテンは採れなくなり,性状が明らかに変化したことを示す。
    (5) 手延素麺をつくる場合は大豆油,棉実油などを使用し,かつ製麺後“厄”という操作を行うが,これが食べるときの歯ざわりその他をよくする。この際小麦蛋白は変化し湿グルテンは採れがたくなり,ファリノグラムも変化するが,小麦粉に脂肪を混ぜて高湿に放置する際にも相似た変化が現われる。これによって厄の実態は酸化した脂肪による小麦蛋白の変化であるよう推定される。
  • 吉岡 慶子, 国府田 佳弘
    1970 年 17 巻 9 号 p. 408-411
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    かまぼこの“あし”の定量的表現として,圧縮および引張試験などの物理的判定法の特性を比較し,また,それらと官能検査値との関連を検討した。
    その結果,レオメーターによる引張試験に関しては,志水による式と,官能検査値とはかなり高い相関がみられた。
    ゲル強度試験機による圧縮試験を行なったところ,福島による式と官能検査との相関は,ほとんどみられなかったが,立上り角度θ1については,かなりの相関がみられた。
    テンシロンによる圧縮試験においては,クサビ型プテンジャーによるh/lに高い相関がみられた。
    志水の実験式をよく検討してみると,Nutting-ScottBlairの式に,Weber-Fechnerの法則を適用したものにほぼ一致することから,本質的に同じものであることを意味していると考える。
  • 高橋 重作
    1970 年 17 巻 9 号 p. 412-415
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    豚の肝臓磨砕物に対し,胃の切片を配合して基質とし,これに酵素または酵素源を添加して発酵を行なう塩辛の速醸法を開発した。研究の結果は次のように要約される。
    (1) 肝臓と胃との,とくに好ましい配合は60:40から70:30までであることを確かめた。
    (2) 発酵試験によって,速醸塩辛が基質100g当たりパパイン0.1gかまたはすい臓磨砕物10gかを添加し,30℃,24時間の発酵によって造られること,なおまた,すい臓を用いた塩辛が風味のうえでとくに好ましいことを確かめた。
    (3) 塩辛の生臭いにおいは,75℃,40分間の殺菌によりほとんど完全に脱臭されることを確かめた。
    (4) 塩辛の原料に対し,60ppmの亜硝酸カリウムまたは30~60ppmの亜硝酸ナトリウムの添加が,殺菌などによる塩辛のカッ変を防ぐために非常に有効であった。
  • 田所 吉忠
    1970 年 17 巻 9 号 p. 416-423
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 17 巻 9 号 p. 424-427
    発行日: 1970/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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