日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
トマトパルプの粒度分布が製品の色に及ぼす影響について
三木 登赤津 一衛
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1971 年 18 巻 7 号 p. 303-308

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抄録
市販トマト製品中のトマトパルプの状態と粒度分布を調べ,次にホモジナイザー,ミキサーおよび超音波を使いトマトパルプを破壊し粒度分布を変えて,粒度分布の違いが色に及ぼす影響について調べた。その結果,
(1) 市販のトマトケチャップ,トマトジュース中のトマトパルプの粒度分布に著しい差を認めた。粒度の大きいものではトマト細胞が残っており,lycopeneは顆粒状に存在していたが,粒度の細かいものではトマト細胞が破壊されlycopeneは細胞外に細かく分散していた。
(2) パルプ量が0.5%~1.0%のトマトジュースにおいてはパルプ量と色との関係は定量的であった。
(3) 漿液の色はトマト製品の色にあまり影響を与えておらず,パルプの色の影響が強かった。
(4) 粒度が細かくなると色は肉眼的にも測色値においても悪くなつた。すなわちつやのある赤色から白っぽい赤色へと変わった。その原因はパルプの破砕とlycopeneの分散の結果反射条件が異なったためと考察した。
(5) 細胞内外にあるlycopeneの安全性について考察を試みた。
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