日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
柑橘果実のプロリン含量について
近藤 義和
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1971 年 18 巻 9 号 p. 430-435

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抄録

主として温州みかん果実を材料として,プロリンの定量性を確かめたのちその含量を調査し,次の結果を得た。
(1) Chinard比色法によってプロリンを測定した。その発色は果汁の酸によって阻害され,糖によって増強される。これらの影響は果汁を25倍以上に希釈すると消失した。
(2) プロリンは柑橘果実に一般に多く含まれ,オレンジ類に多く,酸味の強いレモンに少なく,温州みかんは中程度に含んでいた。
(3) 温州みかんのプロリン含量は早生種(10月収穫)に少なく,普通種(12月収穫)に多く,また冬期貯蔵中次第に増えた。この場合果皮にプロリンが多く,その増加速度も果肉部分に比べて大きかった。しかし果皮と果肉の蛋白質とアミノ態窒素は変化しなかった。
(4) 一樹について調べた場合,日照のよい着生位置のものに多く,小型果実にむしろ多い傾向であった。また品種による含量の差が認められた。さらにかなり大きい個体差が存在した。
(5) 果汁の貯蔵と加熱によってプロリン量はほとんど変化しなかった。

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