抄録
植物タンニン,重金属塩,トリクロル酢酸などの渋味物質のいき値を測定するとともに,牛血清アルブミン,ゼラチンなどの水溶性たんぱく質との反応性を調べた結果,つぎのことが判明した。
(1) 渋味物質はいずれもたんぱく質と不溶性の複合体をつくる。
(2) 植物タンニンは低濃度で不溶性複合体をつくるが,分子量の多いほど,つくりやすい傾向がある。
(3) 重金属塩は高濃度でないと不溶性複合体をつくらないが,たんぱく質との混合液が一見変化していなくても可溶性複合体が存在する。
(4) 渋味物質を総合すると複合体の生成量と渋味の強さの間にはっきりした比例関係は認められないが,特定の植物タンニンに限定すればいき値近辺において比例的な関係が認められる。