日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
アスパラガス缶詰の製造に関する研究
(第5報) 熱処理によるアスパラガス組織細胞および各種成分量の変化
元広 輝重沼倉 忠弘伊勢谷 善助杉浦 訓
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1973 年 20 巻 1 号 p. 5-8

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抄録

アスパラガス缶詰の製造における熱処理が,アスパラガス組織細胞の状態および各種成分量におよぼす影響を検討した結果を要約すれば,つぎのようである。
(1) 収穫前期のアスパラガスの粗灰分量は7.0~7.8%で,後期のものの6.0~7.0%に比べ多く含有される。また,湯煮後にアスパラガスの粗灰分量は減少する。
(2) 湯煮後アスパラガスのカルシウム量は生鮮試料より増加するが,これを缶詰とすれば再び減少する。
(3) 粗繊維量は,後期収穫のアスパラガスが前期収穫(7.2~8.0%)より多く,8.6~10.5%であった。熱処理による粗繊維量の変化は認められない。
(4) アスパラガスの熱処理により組織細胞は変形し,缶詰試料は湯煮試料より細胞の崩壊は顕著である。缶詰試料の剪断値および硬さの値が,生鮮および湯煮試料に比し小さいのは,加熱による細胞破壊が原因と推察される。

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