日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
火入れ茶の揮発性カルボニル化合物
原 利男久保田 悦郎
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1973 年 20 巻 7 号 p. 311-315

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抄録

荒茶および火入れ茶の香気成分のうち,カルボニル化合物を2, 4-ジニトロフェニルヒドラゾンとして捕集し,flash-exchangeガスクロマトグラフィー薄層クロマトグラフィー,赤外部吸収スペクトルなどの分析手段により検討し,次のような結果を得た。
(1) エタナール,ブロパナール,2-メチルブロパナール,2-メチルブタナール,3-メチルブタナールおよびアセトンが単離,同定され,ブタナール,ペンタナール,ヘキサナールおよびヘプタナールの存在が推定された。
(2) 荒茶および火入れ茶ともカルボニル化合物には質的な差はないが,火入れすることによってカルボニル化合物は約倍量くらいに増加し,エタナール,2-メチルプロパナール,2-メチルブタナール,3-メチルブタナールおよびアセトンが増加することを認めた。
(3) 火入れ前後の還元糖とアミノ酸含量の分析および茶にアミノ酸とキシロースを添加し,火入れしたモデル実験によって,火入れ中に生成するカルボニル化合物は,茶中のアミノ酸のストレッカー分解によって生成したものと推定された。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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