1974 年 21 巻 10 号 p. 476-482
胡椒末の辛味消失に関連して,ピペリン(2-トランス-4-トランスピペリン)の溶液中における光化学反応を検討した結果,シス方向への異性化現象と推定され,IR, UV, NMRのデータ及び異性体の合成結果より,光異性化物はイソピペリン(2-シス-4-トランスピペリン)を優位に含むイソシャビシン(2-トランス-4-シスピペリン)との混合物とした。
また,このようなシス方向への異性化は従来からいわれてきた最強の辛味成分シャビシン(2-シス-4-シスピペリン)の存在と辛味性について疑問を投げかけるものである。合成したピペリン異性体(2-シス-4-トランス,2-トランス-4-シス,2-シス-4-シス)はピペリンほどの辛味を有すものではなく,胡淑中には見出せなかった。