日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
キュウリの貯蔵条件と品質および成分の変化
久保 直哉真 ゆみ子萩沼 之孝
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1974 年 21 巻 7 号 p. 351-357

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抄録

キュウリについて収穫後に室温で12日間,低温およびCAで19日間貯蔵を行ない,低温障害およびガス障害とキュウリの品質,性状および成分の変化,とくに有機酸組成の変化との関連を検討した。
(1) 貯蔵中の腐敗は高炭酸ガスおよび低湿区において増加し,低酸素区においては増加しなかった。また障害は室温において黄化,室温および低湿区において委縮,低温および高炭酸ガス区においてピッティングが認められた。
(2) 重量減少率は低湿区において増大し,硬度は室温区において,黄化とともに減少した。
(3) 屈折計示度,全酸および全糖は低湿区が多く,CA区は少なかった。
(4) 低温および高炭酸ガス区においてpHはかなり上昇し,アスコルビン酸はかなり減少し,いずれも障害の指標になると思われた。
(5) 有機酸の分別定量はシリカゲルの分配クロマトグラフィーを自動化した有機酸自動分析機によって行ない,前述のような前処理なしの簡易法を考案し定量した。
(6) 有機酸組成の変化については低温区および高炭酸ガス区においてリンゴ酸の減少が著しく,クエン酸,フマール酸およびコハク酸の増加が大きかった。またこれらの区ではケト酸も認められた。したがって有機酸組成の変化がある程度障害の指標となり得ると考えられる。
(7) キュウリの最適貯蔵条件は温度が8~10℃,湿度は95%前後であり,CA貯蔵の最適条件は酸素が5%以上,炭酸ガスは5%以下の組合わせの中にあると思われる。

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