日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
湯葉の膜質に対する脂質の関与について
渡辺 研渡辺 知紀岡本 奨
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1975 年 22 巻 4 号 p. 143-147

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抄録

脱脂大豆粉の水抽出物よりえた11Sグロプリンにとむ画分(11S)と7Sグロブリンにとむ画分(7S)に,それぞれ蛋白質と脂質の比が5:1, 5:2, 5:3, 5:4となるよう大豆油を加え,全固形分濃度を5%および10%としてホモジナイズし,約80℃に加温して湯葉膜を生成させ,その皮膜について電子顕微鏡観察,物性測定を行ない,またこれら皮膜をエーテルついでクロロホルム-メタノール混液で抽出し脂質の抽出率を調べた。
その結果蛋白質のみの皮膜と比較して脂質を添加したものは破断強度,伸度とも1.5~2倍の値を示し,特に11Sに強い影響を与えた。抽出率については7Sの場合は両溶媒で大部分抽出できたが,11Sの場合は組成5:1, 5:2では非抽出分が50%以上もあった。11S,7S膜は電子顕微鏡的には差異が認められなかったが,物性および脂質抽出率では大きな差異があり,特に天然豆乳の組成に近い5:2附近で上記の特色が著しかった。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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