抄録
ゆでうどん中成分に及ぼすH2O2の影響について検討した。
(1) アワ,ライ麦及び小麦粉のタンパク質区分はH2O2を触媒的に水と酸素ガスに分解し,タンパク質自身はH2O2により酸化されないと考えられた。
(2) ゆでうどん中タンパク質のアミノ酸組成及びゆでうどんに添加されたグリシン,リジンはH2O2 850ppmの添加でもほとんど変化しなかった。
(3) ゆでうどんに添加されたチアミン塩酸塩,ジベンゾイルチアミンはH2O2添加量に従い分解され,蒸熱処理後37℃で7日間貯蔵後の残存率はH2O2 170ppm添加の場合で無添加対照区に比べてジベンゾィルチアミン82%,チアミン塩酸塩68%であった。
(4) 通常のグリシン,H2O2併用使用によるホルムアルデヒドの生成の可能性はゆでうどんの場合は否定された。
(5) 以上の結果からゆでうどんに対する通常のH2O2使用は食品栄養及び衛生上ほとんど問題がないと考えられた。