日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
大豆タンパクの乳化特性に関する研究
(第1報) 乳化特性におよぼす基本的因子について
青木 宏長野 宏子
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1975 年 22 巻 7 号 p. 320-324

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抄録

未変性脱脂大豆の水抽出液,酸沈澱タンパクおよび上澄液の乳化特性について検討し次の結果を得た。
(1) タンパク濃度が増すに従って乳化力および比界面張力は減少し,乳化安定性は増加した。
(2) 抽出液および酸沈澱タンパクの乳化力および乳化安定性はpHにより影響をうけ,pH 4.5付近で最低の値を示した。上澄液はpHによりあまり大きな変化を示さず全般的に高い水準を示した。
(3) 抽出液,上澄液の乳化力および乳化安定性は,タンパク溶液の加熱処理によって低下する傾向を示したが,酸沈澱タンパクはその比界面張力とともにほとんど変化しなかった。乳化物のジェリー強度は,タンパク溶液の加熱処理によって全般的に増加する傾向を示し,とくに酸沈澱タンパクおよび抽出液では70℃以上の加熱によって著しい増加を示した。
(4) 抽出液および酸沈澱タンパクの乳化力におよぼす食塩添加の効果は比較的少ないが,乳化安定性におよぼす効果は大きく,0.1M以上の濃度においてとくに顕著に現われた。乳化物のジェリー強度も食塩の共存により増加し,0.05M以下の濃度からその効果が認められた。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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