日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
温州ミカンの放射線保蔵に関する研究
(第3報)ミカンの褐変発生と貯蔵効果に及ぼす電子線エネルギーの影響
渡辺 宏青木 章平佐藤 友太郎
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1977 年 24 巻 2 号 p. 59-64

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抄録

電子線エネルギーやビーム電流,および照射前後の加熱処理などが果皮の褐変化や殺菌効果に及ぼす影響について調べ,カビや褐変の発生を抑えて温州ミカンを貯蔵するための電子線照射の条件を検討した。
(1) 照射による果皮の褐変は電子線のエネルギーが低いほど少なく, 0.2MeV照射区での褐変発生率は非照射区と変らなかった。
(2) 0.2~1.5MeVの各エネルギーの電子線で果皮表面を200krad照射し, 3℃で3カ月貯蔵した場合でも,また3カ月貯蔵後さらに室温(16~25℃)で7日間貯蔵した場合でも,貯蔵中のカビ発生率は0.5MeV照射区で最も少なかった。
(3) ビーム電流を0.1~1.0mAまで変化させても褐変発生にはほとんど影響がみられないが,貯蔵中のカビ抑制効果はビーム電流が大きいほど高くなる傾向を示した。
(4) 照射前または照射後に55℃, 5分の加熱処理を行なうと,貯蔵中の褐変発生率とカビの発生率は無処理の場合よりも増加した。

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