抄録
限外濾過(UF)によるアンモニア法カラメルの品質改良の際,イミダゾール除去率とともに問題となるfluxと色素損失について検討した。 3.5~21.0%のカラメル溶液をPM-10膜をつけた回分式濾過器を用い, 20~40℃, 4kg/cmcm2でUFを行った。この濾過は濃度分極支配を受ける濾過の式, JW=k3・ln(Cg/CB)に従うことがわかった。実験で得たCgとk3から任意の条件下でのfluxを予測する方法を考案した。一番効率のよい5倍希釈液(14%)を, 40℃でUFを行い1/5量に濃縮したときのfluxは3.75ml/cmcm2・hr,色素損失は4.88%,イミダゾール除去率は60%であった。色素損失は温度が高くなり,また濃縮倍数が大になればなるほど大となる。色素損失率の対数とカラメル濃度には直線関係があり,これを利用して種々の条件下でUFを行った場合の色素損失率が予測できた。これら二つの予測法は,粘度と濃度の関係が試験に用いたカラメルのそれと同じようなカラメルに対して適用できる。