1977 年 24 巻 6 号 p. 311-315
食品中コラーゲンの加熱による変化を解明するため,豚皮より調製した不溶性コラーゲンを水中で加熱し,ゼラチン化の進行状態を観察した。
溶出窒素量よりみたゼラチン化は,加熱の温度,時間の増加により促進されるが,温度により限界がある。 pHが低下するとこの限界は除かれ,溶出量が著しく増大する。塩類は酸性側でゼラチン化を抑制し,中性側で促進する。
加熱時の溶出物中には,ディスク電気泳動および,ゲルクロマトグラフィーにより,コラーゲンのα, β, γ鎖に相当する成分が検出されたが,ゼラチン化の進行にともない,そのパターンにはペプチド鎖の解裂による低分子化とみられる変化が起こった。