日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ビワおよびその缶詰果のカロチノイド色素と色調との関係
本邦産果実のカロチノド色素と色調とに関する研究(第8報)
小林 邦彦磯 ハツ子西山 京子芥田 三郎
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1978 年 25 巻 8 号 p. 426-430

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抄録

(1) 6ヶ月貯蔵した缶詰ビワ果実(茂木,田中両品種)のカロチノイド組成を前報の生果と同様に分析した。生果に見出されたすべての5, 6-エポキシカロチノイドは缶詰果中には見出されず,5, 8-エポキシド,すなわちムタトクロム,クリプトフラビン,クリプトクロム,オウロキサンチンおよびジオールあるいはトリオールの5, 8-エポキシドに変化していた。缶詰果中のカロチノイドの約70%はクリプトキサンチンとβ-カロチンであった。
2. 生果とその缶詰果のカロチノイド組成と色調(Hunter's color solid L, a, b)とを研究した。缶詰果の色調は生果に比べて暗く,黄色味の強い色調を示した。このことは5, 6-エポキシドから5, 8-エポキシドへの変化および全カロチノイド含量の減少に基くものと考えられた。生果および缶詰果を通じて全カロチノイド含量の増加は一般に色相のa値の増大すなわち赤味の増大を引き起こすことが認められた。

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