日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
炊飯時における貯蔵α化米のα化度および物理的性状の変化について
α化食品に関する研究(第1報)
鴨居 郁三篠崎 隆松本 信二谷村 和八郎小原 哲二郎
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1978 年 25 巻 8 号 p. 431-439

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抄録

精白米およびα化米を,室温および35℃で7ヶ月間貯蔵し,1ヶ月ごとに各試料を炊飯して,α化度並びに物理的性状(硬さ,付着性,凝集性)の変化を測定した。得られた測定値について,貯蔵期間(A),米の種類(B),貯蔵温度(C)の3つを因子とし,三元配置法により分散分析を行ない,各因子の影響を調べた。なお,2因子交互作用効果が有意であったものについては,さらに直交分解を行ない回帰式を推定してその影響をみた。
(1) α化度:3因子ともその主効果は1%有意水準で有意であったが,米の種類(B)>貯蔵期間(A)>貯蔵温度(C)の順であった。また精白米およびα化米に対する貯蔵期間の影響をみると,7ケ月間の貯蔵により精白米もα化米も共に炊飯時のα化度は低下するが,α化米では低下の程度が少なかった。なお貯蔵温度については,α化米は室温でも35℃貯蔵でも炊飯時のα化度は殆ど差がなかったが,精白米では貯蔵温度が炊飯時のα化度に大きく影響し,35℃貯蔵ではかなりの低下が認められた。
(2) 硬さ:3因子ともその主効果は1%有意水準で有意であり,貯蔵期間(A)>米の種類(B)>貯蔵温度(C)の順であった。また貯蔵期間が長くなると,炊飯時の硬さは精白米もα化米も共に同様の傾向で低下した。なお貯蔵温度の影響をみると,精白米もα化米も共に室温に比べ35℃貯蔵では,炊飯時の硬さは増加していた。
(3) 付着性:3因子ともその主効果は,一応1%有意水準で有意であったが,その影響は米の種類(B)が,貯蔵期間(A)および貯蔵温度(C)に比べて著しく大きかった。なお精白米では貯蔵期間が長くなっても炊飯時の付着性の変化は小さいが,α化米ではかなりの変化が認められた。
(4) 凝集性:貯蔵期間(A)のみ1%有意水準で僅かに有意であったが,炊飯時の凝集性については,貯蔵期間(A),米の種類(B),貯蔵温度(C)の3因子とも大きな影響を与えていない。

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